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利用者が元気になる、ある方式を取り入れた介護が凄い

 

「デイケアサービス」と呼ばれる施設は数多くあれど、「これほどまでに入居者の元気が施設ごとに違うものか!」と驚愕させられました。

 

サービス利用者が、職員やボランティアの方々にお世話をされながら静かに人生を送るという一般的なイメージを払拭する、とある食事方法を取り入れている千葉県茂原市の「デイサービスセンターまこと」。

 

食事の際に一番動いているのが実は入居者というこちらの施設では、サービス利用者が自ら並んでバイキング方式でセルフサービスで食事を準備するという、あまり聞いたことのない方法が取り入れられています。

 

スタッフの見守りと声掛けで支える

 

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一見すると、昼食時のここはデイケアセンターというよりもただ単にちょっとお年寄りが目立つバイキングレストランといった印象です。

 

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順番に料理を盛り付けしていくため、時間は掛かります。それでも、自らの手で行なわれるその作業は、介護を受けているというイメージとはかけ離れていて、介護を受ける前の日常生活の能力を取り戻しているように感じます。
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スタッフの役割は、見守りと声掛け。利用者の自主性が尊重されています。もちろん、困ったことがあればすぐに対応しますが、すぐに代わってあげるのではなく、声掛けをして本当に必要なのかどうかを見極め、利用者を補助します。

 

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歩行が幾分おぼつかない方も、自分で盛り付けたプレートを台に載せ、いつもの席まで運んでいくのが日常です。要介護者であることが気付かれないという利用者さんも増えているとか。

 

食べ残しも

 

後片付けも利用者が自分で行ない、その際にもスタッフは近くで見守って、やはり困っている時に声を掛けていました。利用者同士助け合うシーンも見受けられ、単に食事の時間というだけでなく、入所されている方々の自主性が育つ相乗効果があることもすぐに理解できます。

 

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食後も利用者により、食器類は整然と片づけられていました。ここが社員食堂や学生食堂ではなく、介護施設というから驚きです。

 

認知度や日常生活が改善する方も

 

実はこちらの施設、珍しいのは食事だけではありません。利用者の中には、歌を歌う方、マッサージを受けている方、ケーキ作りをする方、パンを作る方と様々で、スタッフなのか利用者なのか区別が付かないほど。

 

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ただパンを作るのではなく、家からあんこやウインナーを持参してあんパンや総菜パンをこしらえる方もいるのです。新しいことへの挑戦も多く、認知度が改善して体調も良くなり、日常生活が改善されている方もいらっしゃいます。

 

このボードにプレートを貼ります

 

利用者の1日は様々な作業が書いてあるマグネットのシートを自分で選び、玄関の予定表に貼り付けることから始まります。

 

その日の作業は自分で決める

 

これにより、利用者の自主性と目的意識を保つことにつながっているんですね。

 

人を人として扱ってくれる…。当たり前の事のはずなのに、まるで人権が奪われるかのようにして「できること」まで奪われてしまうのが介護施設であると思われがちな業界ですが、「まこと」は介護の理念の再構築、施設全員のコンセンサスとスキルアップ、利用者とご家族などの理解がうまくかみ合って運営されているのが分かります。

 

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これから高齢者が増えていき介護を必要とする予備軍が増えていきますが、それぞれの適性や能力、趣味などを尊重したサービスが望まれます。

 

できる事を奪わない介護

どの施設も一律に同じことをするのではなく、それぞれの個性を生かすようにと言われる時代にあって、基本中の基本である「自分で出来る事は自分でやる」を徹底し、本当に必要なところだけをサポートするというこの取り組みは、いずれは自分も介護を受ける身であることを考えると、本当にありがたい方法ではないでしょうか。

 

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利用者の生活能力が低下する「奪う介護」が増えているのではという不安が、こうした取り組みを実践することで解消されるというのは嬉しいこと。

 

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「助ける」という行動によって「奪う」のではなく、「出来る事を奪わない」というポリシーを持つ代表取締役の阿部智喜さん(写真右)の考え方から学べることは多いのです。

 

近い将来には、唱歌や民謡ではなくロックを聴いて育った世代向けに、BGMにビートルズが流れるという施設が出現しても良さそう。

 

そう、固定概念を取り払って違った目線で見ると全く別のものが見えてくるのですね。

 

 

[デイサービスセンターまこと]

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