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地域がこんなに盛り上がる、伝統ある昔ながらの上棟式

 

 

「工務店は地元で何か問題があったら一番にかけつけなくてはならない」と言う千葉県長生村の熱い男。

 

そんな地元思いで熱血漢の建築家、建匠舎の齋藤さんから昨年の11月に「上棟式をやるので見に来ないか」と声をかけていただきました。とても興味があったので行ってみると、日常では味わえない光景が…。

 

上棟式は、棟上げまで終了した時点で、お施主様が、棟梁や大工への感謝を込めて行うイベントです。

 

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お施主様の嬉しそうな笑顔をご覧ください。真ん中の方がご本家の方、両側の方がご兄弟で、このお二人がお施主様です。

 

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まだ骨組み状態の建物。お客様と2年間に7~8回も図面を引き直す打ち合わせをしてご納得頂いた、建てる側と建てられる側の両方の思いが詰まった家なんですね。建物を上から見ると、鳥のように見える凝った設計もしているとのこと(本来直線とするところを12度という微妙な角度をつけているそうです)。

 

100%国産材、しかもほとんどが地元千葉県産の木材を使っています。齋藤さんは何度も木材を見に行って納得したものだけを使っているそうです。

 

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迫力あります。

 

今回の上棟式のスケジュールですが、1~2日で桁を組み(桁とは横に通す木)、3日目に棟上げをします(棟上げとは建物の一番高いところに棟木を通すこと)。

 

てっぺんに五色の旗を、表鬼門と裏鬼門に邪気払いとしてを、棟木に幣束(2本の紙垂を竹または木の幣串に挟んだものである)を立て、建物の神様に手を合わせるのです。ちなみに建物の神様は女性のため、上棟式には女性は参加できません(神様がヤキモチをやくとか)。

 

さあ、ここから上棟式のクライマックスです! 上棟式って地味に感じるかもしれませんが、実はすごく熱いんです。

 

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画面の左上に物体が飛んでますよね。これはお菓子、餅、お金といったお祝いの品。それを屋根の上からばら撒いているんです。餅投げ、餅まきと言います。

 

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地上では、近所の皆さんや子どもたちがたくさん集まってきていて、飛んできたお菓子やお餅などに夢中。

 

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子供たちにとってはまたとないチャンス(笑)。必死にお菓子を集めます。

 

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戦利品の数々。子供からお年寄りまで本当に楽しそうでした。今ではこうしたイベントを見ることも少なくなりましたから、とても盛り上がりますね。

 

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最後に撒くのが、巨大なお餅! 親餅といいます。大きいでしょ!

 

赤いお餅は棟梁が、白いお餅はお客様が貰います。ちなみに白いお餅を貰った人が次に家を建てる人と言われるそうです。

 

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小さな子が家を建てるまでには、ちょっと時間がかかるかもしれないけど、とりあえずおめでとー!

 

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ちなみに私の戦利品は酒枡と餅です! 写真を撮るのに夢中で、ちょっと少な目? でも、すごく楽しい上棟式でした。

 

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まずは鏡開きの準備です。経験のある大工さんが教えてくれたのですが、一度樽の上の板を外してばらしておくそうです。これをしないで木槌で叩くと、割れるどころかしっかりはまってしまって、上板が取れなくなるのだとか。今まで鏡開きとは単純に樽の上板を木槌で叩いて割るだけと思っていたのですが、違ったんですね。

 

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宴会料理の祝い御膳。

 

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縁起物の鯛。とても大きいですね!

 

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建築途中の家の中で宴会を行ないます。お施主様とその関係者、そして棟梁と大工です。天気も良く、外で食べる料理は最高ですよ。いよいよ宴会の始まり始まり~!

 

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最初はお施主様から棟梁、大工への感謝の言葉です。 上棟式とはお施主様のご好意で行なうもの。これに係る費用は全てお施主様がご負担されるんです。ですから最近は、上棟式をやらないケースが多いとのこと。建匠舎さんの場合は、お客様がやってくださるケースが多いみたいです。

 

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鏡開き! お酒を皆に配ります。そして、乾杯!

 

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さあ、いただきま~す!

 

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憩いと労いのひと時ですね。オードブルもとても美味しそうです。

 

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楽しかった上棟式もこれで終了です。兵どもが夢の跡。五色の旗が降ろされます。上棟式の後、お施主様と一緒にやる作業があるとのことで、ちょっと参加させて頂くことになりました。

 

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今回は風除けのための板に、ニスを塗る作業。本来は工事に含まれていないものだったのですが、お施主様のためにと休日返上で追加作業をやることに決定。お施主様自らも手伝う、ということになりました。

 

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一見地味に見えるのですが、きちっと塗らないとニスが垂れてきてしまうので、とても難しい作業でした。

 

「ニスをきっちり塗れば50年持つ」と齋藤さん。自分の作業の結果が50年間残るということ。凄いことですよね。今回作業をしてくださったのは、大工という仕事にあこがれて30歳過ぎで転職してこられた職人さん。すごく前向きでやる気がある方だそうです。

 

建匠舎の齋藤さん曰く、こうした手作りの良質な住宅が欲しいといった需要はとても多いそうです。古民家再生なども、大工としての腕が必要とのこと。現在、そういった手作りにこだわった仕事をする大工が減っているため、やる気のある方にはうってつけの仕事だと、自信を持って仰ってくださいました。

 

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そして施主様も一緒に作業。これも楽しそう! ちなみに施主様は地元で造園業を経営されており、こういった作業もお手のもの。おみそれしました。

 

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私も塗らせていただきました。頑張って丁寧に塗りました。まあまあの出来栄えかな(笑)! 齋藤さんからもOKを頂いて、ほっと一安心。

 

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施主様が齋藤さんにすごく感謝して、建匠舎さんの広告をわざわざ高くて見やすいところに付け替えてくださったそうです。本当にいいお施主様だな~。高いと見やすいですね!

 

地域の活性化にも貢献する、上棟式のある質の良い家造り。その良さを建匠舎さんのお仕事に見ることができました。

 

清水 真

 

[建匠舎]

 

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